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単位 (社会組織)[たんい] 単位(たんい)とは、中華人民共和国の社会における基層組織であり、労働を媒介として全人民を組織化し、行政、経済、思想のあらゆる面から管理・支配する中国特有の組織である〔河村(2011年)63ページ〕〔藤井(1999年)29ページ〕。その起源は戦前の革命根拠地まで遡り、当時の困難な状況下で中国共産党と軍の各組織は軍事共産主義の配給制と自給自足を強いられて「単位」体制を編み出していく〔。国共内戦に勝利すると、党は「単位」体制を都市部を含めて全国に押し広めた〔。 == 概説 == 社会主義体制をとる中国では、所有形態は生産手段に関する国有ないし公有制、すなわち具体的には全人民所有制、および集団所有制と、生活に関する私的所有とに区分される〔。全人民所有制とは、「国有」を意味するのであって、「単位」と呼ばれる国有企業が代表的な対象であった〔。中国では農村戸籍を持つ農民を除いて、すべての就業人民は何らかの「単位」に属した。すなわち、中国の都市部においては、「単位」とは工場、政府、商店、学校、研究所、文化団体などの総称であり、「職場」という意味でもあった〔興梠(2002年)43ページ〕。都市部の住民にとっては、給与から住居・退職金などの社会福祉はいっさいこの「単位」が供与していた〔。「単位」内部の者は、失業のおそれがないかわりに、自由な流動は不可能で、誕生から死までの一切の面倒を「単位」に仰いでいた〔。結婚登記からホテルの宿泊、飛行機の切符購入、離婚、養子縁組に際し必要となる身分証明書のためには、「単位」発行の紹介状が必要だったのである〔〔河村(2011年)64ページ〕。また「単位」は、単なる「職場」の域を超えて、家長のように連帯責任を負う〔〔。伝統的に中国では、家族が社会の基本組織になって多くの機能を担ってきたが、現代中国の家庭、特に都市部の家庭において、このような機能が残っている例は極めて少なかった〔藤井(1999年)30ページ〕。旧来の家族が担っていたそのような機能は、「単位」という団体本位の組織に吸収されたのである〔。しかし、今日では都市部においても「単位」に属しない個人経営者があらわれ始め、また私営企業や外資系企業が、従来「単位」が担ってきた経済外的諸機能を脱ぎ捨て始めたので、中国社会における「単位」の統制力は弱体化されつつあった〔。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「単位 (社会組織)」の詳細全文を読む
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